東京高等裁判所 昭和45年(ネ)2606号・昭46年(ネ)2698号 判決
およそ囲繞地の通行権を有する袋地所有者の通行すべき場所および方法を認定するに当っては、形式的、画一的判断によるべきではなく、当該袋地および囲繞地の位置、形状、用法等諸般の事情を綜合考慮して判断すべきであることはいうまでもないところであるが、上記(一)および(二)で認定した諸事実を綜合して考えれば、第一審原告所有地が住宅として使用されている限りにおいては、第一審原告所有地の所有者は、前認定の二六八番の一二の土地を通行することによって公道に出るための必要は十分に満されているものというべきであって、第一審原告所有地の所有者に本件土地の通行権があるとすることは、本件土地の所有者である第一審被告に不当に不利益を課するものといわなければならない。第一審原告は、さきに認定したとおり、第一審原告所有地上の住宅を取壊し、その跡に事務所兼倉庫用の建物を建築するに至った結果、商品の搬出入のために本件土地の通行のみならず本件土地への自動車の乗入の必要が生じたとしても、このような第一審原告だけの便宜のために、第一審被告が従来通行を承認してきた前記二六八番の一二の土地のほかに、またはこれに代えて、第一審原告に本件土地の歩行または自動車による通行権があるとすることは、相隣接する土地の利用関係を調整し、相隣接する土地の所有者相互間の利害の衡平を図ることを目的とした囲繞地通行権に関する民法の規定、特に同法第二一一条の規定の趣旨に照し許されないところというべく、もし第一審原告において本件土地について歩行または自動車による通行の必要があるとするならば、すべからく本件土地の全部または必要部分を買取り、または賃借する等然るべき対価を支払ってその使用権を取得する方途を講ずべきことは理の当然といわなければならない。
(平賀 安達 後藤文)